戦争しない国であり続けるために

〜これから安倍政権にどう立ち向かうのか

               講師 高田健さん

 

                     2015年11月28日 練馬区庁舎多目的ホールにて                           

はじめに

   昨年から今年にかけて私たちは秘密保護法案に反対し、今年になってからは戦争法案に反対する運動をやってきました。参議院での採決が近づいた9月17日からは徹夜で国会前に座り込みながら反対の声を上げ続けましたが、9月19日の未明に強行「採決」されてしまいました。
 昨年からの運動を私は「2015年安保闘争」と呼んでいます。60年安保は日米案の改定に反対する運動であり、70年安保は改定から10年後には日米両国のどちらかが申告をすれば、日米安保条約はなくなるという10年目でしたから、安保条約をなくすべきだという運動が盛り上がりました。今年は日米安全保障ガイドラインに関連してつくられた法律ですし、政府が「安保法制」と呼びましたから、「安保闘争」と呼んでもいいのではないかと思ったわけです。
実は9月18日以降も運動は続いています。全国で土曜日曜に限らず、たくさんの運動が行われています。おそらく今日もこの時間帯に戦争反対の運動が必ずいろいろなところで行われているはずです。9月18日は一種の中締めのようなものですから、この機会に、2年間の運動を振り返って、これからの運動を考えるといいのではないかと思います。

 


敗北などしていられない

 運動をしてきた仲間たちとも話し合っていますが、「2015年安保闘争」の特徴は、敗北感や挫折感がないことです。安保法制は通ってしまったし、60年安保の時は岸信介を倒したけれども、安倍晋三内閣は続いている。それでいて敗北感があまりない。
 その理由の1つは、昨年から運動がつくり出した成果に対する確信、そしてもう1つは6ヵ月後には南スーダンで駆けつけ警護が検討されているという容易ならざる状況があるからです。この戦争法の発動を阻止する、あるいは廃止するという課題が、直接いまを生きている私たちにのしかかっているからです。頑張って運動を続けて行かなければならないほどこの国は大変な状態になっています。戦争法案は憲法学者の大多数も、あるいは弁護士連合会の大多数をも含めて多くの人たちが憲法違反の法律だと言いました。しかし九条を中心にした平和憲法は、文章上は1文字も変わっていないのです。平和憲法がありながら、憲法違反の法律があるという矛盾した状況に、9月18日以降はあるわけです。
(第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない

 


戦争法の発動を延期する魂胆

 安倍さんや防衛省の考えは、3月以降に南スーダンのPKOが、かけつけ警護に参加するという形で「戦争法」を実行することでした。しかし実際には、今派遣されている自衛隊は、かけつけ警護を直接やる任務を負っていないので、そういう訓練は受けていません。そこで今、北海道の北部方面隊を派遣する準備をしていますが、当初は5月だと言っていたのに、最近は戦争法の発動は11月からにするという情報が入っています。審議を打ち切って強行採決をしなくてはならないほど急いでいたのに、3月や5月ではなくて11月だという話が今流れてきています。安倍さんという人は計画性が全くない人ですね。7月に参議院選挙があるのは分かっていたはずです。にもかかわらず採決を急ぎ、その上、参院選までに現地人を殺傷したり、自衛隊員が亡くなると都合が悪いから延ばすのですから。


開かれない臨時国会

 しかも与党は憲法五十三条の規定を無視して臨時国会を召集しません。
(憲法五十三条 いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣はその召集をしなければならない)

 私はこの条分を何度も読み返しましたが、ここには開かなくていいとは一言も書いてありません。安倍政権は期日が書いてないことを理由に、臨時国会を開催しない代わりに、通常国会を1月4日から開催すると言います。ここでも憲法違反をして、戦争法の審議を回避しているのです。

 

戦争でテロはなくならない
 安倍さんは「断固テロと戦う」と勇ましく言う国々と同盟して、共に戦争をするのが日本の指命だと思っている。室井ゆずきさんが国会前のたたかいに現れて、「シリアにテロリストがたくさん隠れているから、そこを爆撃するというのなら、フランスにもテロリストがたくさん隠れているのに、なぜフランスを爆撃しないのか」と発言しました。ばかげた話に聞こえますが、テロリストがいるからといってシリアを爆撃するのは同じくらいばかげた話なのです。テロは戦争ではなくならないのです。テロの原因は戦争であり、貧困であり、差別であって、本当の意味で国際社会が力を注いで、とりわけ平和憲法を持っている日本が力を注いでいかない限りテロは解決しないのです。そういう時代に入ってしまっているのです。


総がかり実行委員会の役割

平和運動の統一

日本の平和運動は、長い間、意見の違いなどで対立して分裂してきました。憲法集会でさえ、同じ日に2箇所で行うといったマイナスの面があったのです。しかし、安倍政権の下で、再び日本が戦争をする国になろうとしている危機感から、次第に統一の機運が生まれてきました。
「総がかり実行委員会」は、今まで独自に活動をしてきた「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」、「戦争をさせない1000人委員会」、「戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター」が、立場や意見の違いを越えて2014年12月15日に発足させたものです。その三者が最初に計画したのが5月3日の憲法集会でした。この呼びかけ団体には、それぞれ多数の平和・市民団体が参加しています。そして、2015年5月3日に行われた横浜の臨港パークでの憲法集会では3万数千人もの人々が集い、大成功を収めました。それまでは2つの集会を合わせても1万人程度しか集まっていなかったのです。憲法集会以後、この呼びかけ3団体に加えて、それぞれの固有の課題の枠組みを超えて、19団体が実行委員会に加わりました。
実行委員会は、9月までに1万人超の集会を12回とりくみ、とりわけ戦争法の国会審議の山場となった9月14日以降は5日にわたって連続数万人の行動を国会周辺で展開しました。また5月以降、毎週木曜日に設定された国会前行動は計19波にわたって積み重ねられ、当初の数百人から、後半には毎回2~3000人が参加する行動となり、座り込みとロビーイングを組み合わせて運動の軸を形成しました。これらの国会行動には毎回、瀬戸内寂聴さんや、村山富市元首相など多数の著名人・文化人なども参加し、また毎回のようにいくつもの野党の国会議員も参加して連帯の挨拶を行いました。また全国統一街頭宣伝は10回を超え、国会議員へのFAXや葉書の要請行動などにも取り組みました。

 

手をつないだ野党

またこの総がかり実行委員会の運動の特徴の一つに、国会内の野党各党に対する共同行動の働きかけを重視して、熱心に取り組んだことがあげられます。実行委員会は当初から各野党幹部との会談や、市民の座り込み行動に同時並行して行われたロビーイングなどを行ってきました。各種の集会にはかならず野党各党の代表の参加を働きかけ、その結果、実行委員会の会議でも国会議員の情勢報告などがしばしば行われるようになりました。5月3日の憲法集会の段階では、民主党の長妻さんは共産党の志位さんと手をつなぐことができませんでした。けれども、8月、9月の国会前の集会では、政党のトップが出てきて毎回全員で手をつなぐようになったのです。小沢さんまで出てきて他の党と手をつないだのです。シュプレヒコールでも、「野党は共闘せよ」「野党ガンバレ」という声が出るようになりました。本当に戦争法を食い止めるためには国会の中と外が一緒にならないと勝てないのです。そして「野党ガンバレ」という姿勢は今も運動の中で続いています。


非暴力に徹した運動

立ち上がった個人

 今はSNSの時代です。フェイスブックやツイッターを見て参加する人たちがたくさんいます。
そしてそういう人たちがこの一連の運動の中で、大量に登場したのが今回の特徴だったと思います。私のところに、「国会にはどう行ったらいいのか」あるいは「デモに行くには何か資格がいるのか」「持って行くものは何ですか」「トイレはあるんでしょうか」といったいろんな電話が結構入りました。もう1つは新聞広告を見て来る人たちです。新聞広告は8回ほど出しました。全部で1億円かかりました。はじめからそういう計画があったわけではなく、さまざまなことをしている中でカンパが集まってきて出せることになったということです。そのことによってツイッターなどのSNSに縁のない人たちも来ることができました。東京の集会に九州や東北からも来てくれました。勿論労働組合も参加しましたが、何にも属していない市民が自分たちの意思表示として集まったというのが今回の運動の大きな特徴でした。


医療班の活躍

それでも病人は出ます。多いときは現場にお医者さんを50人も配置し、看護師さんが付いてきてくれますからもっと膨大な医療体制で臨みました。実際に心臓の発作を起こした人もいました。心臓の持病がありながら、どうしても行かせてくれと言って出てきたけれども、集会が始まる前に倒れてしまったのです。けれども満員電車以上の混み方ですからその場に行くことができません。そこでマイクで「病人がいるので道を開けてほしいと訴えたら、モーゼになった」と医師の一人は言っていました。サーッと目の前が割れて行ったと言うのです。感動的な話でした。


肖像権保障エリアの設置

最近は写真を撮る人が多くて、それがフェイスブックに上がっていたりします。そこで写真を撮られたくない人のために肖像権保障エリアをつくりました。そのエリアには身体の弱い人なども安心して参加できるようにしたのです。このようにいろいろな知恵を出し合ったことが、この一連の運動が大きく発展した要因だったと思っています。


統一運動が生み出した新しい運動

その波及効果として、日弁連が私たちと連携して運動をしました。日弁連には公明党の山口さんや自民党の高村さんや谷垣さんなども加入していますから、今回は高村さんたちとたたかいながら連携したものと思います。私たちが二つに分かれていたら、日弁連は一緒に行動をしてはくれなかったでしょう。また、「安保法制に反対する学者研究者の会」や「SEALDs(シールズ)」、「立憲デモクラシーの会」「戦争法案に反対するママの会」など9団体も新しく生まれ、8.30の大集会の呼びかけに加わりました。
上智大学の中野晃一教授はこの総がかり実行委員会と、学者の会やシールズなどとの関係を「掛け布団と敷き布団の関係」にたとえました。「新しい運動が掛け布団で、長年つづく運動が敷き布団、多くが政治への不満を募らせる『寒い時代』には掛け布団が重ねられる。でも誰も気にとめなくても、敷き布団がなければ体が痛くて眠れない」と8月31日の朝日新聞で語っています。私たちが統一していると、いろいろな人が参加しやすくなるのですね。


総括と今後の課題

私たちのたたかいは、主要野党の結束を作り出したけれども、与党内の大きな分岐をつくることができず、強行採決を許してしまいました。一部には地方保守層の離反や、公明党支持層の離反も生まれたけれども、法案の成否に影響を与えるような分岐をつくり出すことはできませんでした。
 運動によって、異常に高かった安倍政権の支持・不支持率を逆転させることができましたが、支持率が30%台以下には下がりませんでした。デモに出るほどの余裕すらない非正規労働者層や、中小零細企業家層、あるいはアベノミクスに期待するサラリーマン層などへの浸透は困難でした。全国運動というけれども、市町村のレベルでどこまで広がったでしょうか。労働運動ではごく一部でストライキが行われたり、大手の労組の一部が旗を持ってデモに参加したこともありましたが、全体に職場での運動はつくれていません。街頭の反応や女性週刊誌の報道など、専業主婦層の関心の高まりは貴重な経験であり、あと一歩のところではなかったかと考えています。


まず、廃止法案を出させる!

 9月19日に強行採決が行われ、今南スーダンへのかけつけ警護のための準備が行われていますし、南シナ海のアメリカの動きに同調する可能性もあります。私たちの今の課題は、まずこの戦争法の発動をどうやって食い止めるかであり、戦争法を廃止するたたかいを引き続きやっていくことであります。そのために国会の中で野党4党ないし5党で廃止法案を出してもらいます。臨時国会があればそこで出すのが筋なのですが、来年1月に行われる通常国会に野党が結束して提出するようにしたい。民主党に関して、メディアは「誰が岡田氏に反乱している」とかいうことばかりを面白がって書いているので、民主党の中が大混乱になっているように思われがちですが、新聞が書くほど心配はしなくていいと思います。基本的には、岡田執行部が戦争法廃止の方向で野党4党で結束してやっていく可能性が大きいし、またそれを支える市民運動の結束と連携が強いですから。
 まず廃止法案を出させる。その後に民主党が独自案を出すということはありうると思います。ただ今回は安倍内閣が通した戦争法をとにかく振り出しに戻す。南スーダンへの派遣を私たちが阻止するような形をつくり出す。安倍内閣が参議院選挙を気にして11月まで延ばしたように、世論がどう動くかが発動に大きく影響すると思いますから、発動阻止の課題をどうしてもやり抜きたいと思います。


野党共闘で改選議席の過半数を

 そして来年の夏の参議院選挙です。この選挙で安倍内閣に有権者が不信任を突きつけるかどうかが課題です。いろいろな政党はそれぞれの案を出して、各政党で折衝中です。共産党は「国民連合政府」というのを出していますし、小沢さんは「オリーブの木」構想を出してきていますし、民主党の枝野さんは、新聞には書かれていませんが、民主党の提案で、各5党の代表と市民運動とが定期的に話し合う場として「安保法制反対諸団体との意見交換会」を2度ぐらいやっています。このようにそれぞれの政党が努力している最中です。私は最低でも、何としても今度の選挙で野党共闘を実現してもらいたいと思っています。そこから先の連合政府がどうのというのは政党の責任でやって下さいと言いたいです。ともかく今度の参議院選挙では野党が協力して安倍政権にたち向かう。これが絶対に必要です。とりわけ32の1人区です。参議院の改選は121議席、4分の3ぐらいが1人区です。この1人区がどうなるかで参議院の体制が決定すると思うのです。野党4党あるいは5党が共同の候補を立てて、与党にぶつかっていく体制が参議院選挙でつくれるかどうかが大事だと思っています。それができないのだったらこの野党共闘は何だったのか、手をつないだのは何だったのかと言いたいです。どんなに難しくてもそれをやってもらいたい。評論家は悪い癖があって、野党共闘をしたからといって1人区ですべて逆転するとは限らない。上手くいくのは7区しかないとか言う方がいます。そんなことはないのです。4党がしっかりまとまっていれば、今まで選挙に行かなかった人も投票するのです。みんながまとまって与党とぶつかっているのだという姿が見えるようになれば多くの人がそこに期待をします。野党が結束すれば32の一人区が全勝することだって可能だと思っています。そうすれば121議席の内の過半数を取ることは可能だと思う。政党間で話し合って候補者を決めるのもいいし、市民を含めた無所属でもいい。参議院選挙で野党が共闘して改選議席の過半数を取る。そう言うと「志が低い、なんで参議院の過半数と言わないのか」と言われるのですが…、でも、最低でも今度の選挙で改選議席の過半数、それを足せば全体議席の過半数にはなりませんが、改選議席の過半数を取るということは安倍内閣への不信任なのです。第一次安倍内閣が倒れた原因の一つは、参議院選で不信任を突きつけられてからです。改選議席の過半数獲得を実現する。これを野党4党の結束でやり抜いたら私は大勝利だと思います。


2000万人署名運動の意義

 私は2000万署名が、野党の結束の推進と参議院選挙での野党の勝利に果たす役割は大きいと思っています。2000万というのは並大抵の数字ではないです。来年の4月25日までですから五ヵ月しかありませんから。戦後の歴史で数千万の署名をやったのは私が知っているのは2回ぐらいです。50年代の原水爆禁止運動、これは数千万も集まりました。そして80年代の国鉄分割民営化の時で3000万。国民の足を守る署名運動で労働組合が中心になってやっていました。それ以来は知りません。それほど大変な数字です。しかし、参議院の選挙での前回の与党の得票は2500万ぐらいです。2000万という数字はこの与党の得票2500万に匹敵する数字を集めたいという思いがあるわけです。そうすることで野党を激励する。参議院選挙で戦争法を争点にする、安倍さんは経済に逃げようとしていますが、逃げさせない。戦争法を重大な争点にして戦う。今右翼も必死で1000万署名を集めていますが、これに負けないように、署名を集め、そして戦争法を争点として選挙戦を戦う。だから今まであった署名とはかなり違います。そしてもう一つの特徴は、署名用紙に「統一署名」とかいていることです。今までの署名は労働組合の署名とか、九条の会がやる署名とか、団体ごとに署名運動が行われていましたが、今回は統一しています。みんな一緒に同じ署名簿でやります。統一署名であることの重要性を是非確認していただきたい。


九条の会が呼びかけ団体ではない理由

 九条の会はなぜ呼びかけ団体に入っていないかという質問がたくさんきます。それには理由があります。この署名用紙に名前を載せている団体は「総がかかり実行委員会」をつくる段階で、それに入ってきてくれた団体だけなのです。もう一つの理由は九条の会の方針が、当初から「九条の会は自民党支持層も含めて幅広くやっていきたい、既成の団体と協力する形は取りたくない」となっていました。そうでなくても九条の会は「あっち系」とか言われるわけですから、気をつけてきました。今は少し変えています。憲法九条と直接かかわる問題については、孤高を保っていたのではダメだ、積極的に参加して役割を果たそうというアピールが、この間二度ほど出ています。その反映で、統一署名には九条の名前は出ていませんが、全体としては積極的に参加することになっています。そのことは呼びかけ人会議でも確認をしました。取り扱い団体という欄がありますから、そこにはどうぞ「ねりま九条の会」の名前を書いていください。
 いつも九条の会には若い人がいないと嘆いていましたが、署名運動こそは高齢者の出番です、シールズの諸君はせいぜい20年ぐらいしか生きていないけれども、私たちは60年、70年、80年と生きてきて、親戚や友達がいっぱいいます。そういう人たちに片っ端から署名に参加してもらってください。


高田さんのレジュメにある資料から

●南スーダンへの自衛隊の派遣
 2008年10月 UNMIS(国連スーダン派遣団)に司令部要員2人(情報、兵站幕僚)派遣。
 2011年12月 UNMISS(国連南スーダン共和国派遣団)司令部に1人(施設幕僚)派遣。
 2012年 1月 同司令部に1人(航空運用幕僚)派遣、3月から施設部隊を順次派遣。
 2013年12月 内戦激化で国連施設内の避難民保護区域造成、外柵補強、医療支援、道路補修 など。
 2015年 9月 施設部隊は約350人に。「施設活動等」(国連施設の排水溝整備、市内道路整備)。
 2015年 9月 防衛省は省内の検討委員会を開き、武器使用の基準となる「交戦規程」(ROE、 自衛隊では「部隊行動基準」と呼び、あ いまい化)の改定作業を開始。
 2016年 3月 改定PKO法施行(戦争法制の公布日9・30から6か月以内に施行)。
 2016年5月?「駆け付け警護」「治安維持・住民保護」⇔「任務遂行のための武器使用(=武 力行使)」の訓練を受けた部隊の派遣
(準備中、北海道の北部方面隊?)。
 2016年11月に派遣を延期(参院選のあと?)

●産経世論調査:安保法案反対デモの評価をゆがめるな 毎日新聞2015年09月17日
 ◇産経新聞とFNNの合同世論調査にもの申したい
 安全保障関連法案の参院採決が迫る中、9月12、13日に実施した調査で 「安保法案に反対する集会やデモに参加したことがあるか」
 と質問し、 3.4%が「ある」、96.6%が「ない」と答えたという。これを受けて産経 新聞は15日の朝刊で「参加した経験があ
 る人は3.4%にとどまった」と書 いた。
  安倍政権の応援団として、全国に広がる安保法案反対デモが気に入らないのは よく分かる。 「毎日新聞や朝日新聞はデモを大きく扱
 っているが、デモ に参加 しているのはたった3.4%にすぎない」と言いたいのだろう。
  だが、日常生活の中で特定の政治活動に参加する機会のある人がどれだけいる だろうか。この世論調査は全国の男女1000人に電話
 で質問したとされ、そ のうちデモや集会に参加した と答えた人が34人いたと推定される。素直に考え れば、これは大変な人数だ。全
 国の有権者 1億人にこの数値を当てはめれば、 安保法案反対デモの参加経験者が340万人に上る計算に なる。
  調査ではさらに、デモ・集会に参加したことがないと答えた人(回答者全体の 96.6%) に「今後、参加したいか」と尋ね、18.3%が「参加し たい」 と答えたという。これはつまり、回答者全体の17.7%がデモ・集会に参加したいと考えている計算になる。 実際に参 加したと答えた3.4% と合わせる と、5人に1人が安保法案反対のデモ・集会に参加した経験があるか、参加したいと考え
 ていることになる。有権者1億人に当てはめれば 2000万人。この 調査結果にゆがみがないと仮定すれば、「安保法案に対する世論
 の反発の大きさを示した」と書かなければならない。
  もちろん、自宅の固定電話にかかってくる世論調査の電話を拒否する人も多 く、調査に応じた人の割合を有権者全体にそのまま当ては
 めること自体に 無理 がある。そもそも1000人程度の無作為抽出による世論調査というのは、国民 意識の大まかな傾向を探るのが目
 的だ。1000人中1人いるかどうかも分からない特定の政治活動参加者について数値を割り出せるものではない。デモ・集会の参加経
 験を無理やり数値化したうえで、法案賛否などの 数値と同様に扱 い、「3.4%にとどまった」などと書くのは、世論調査の社会的な
 役割とはほど遠い「扇動記事」と言わざるを得ない。(以下、略)         【世 論調査室長・平田崇浩】

●安保法制「これで終わったら終わり」 自民・野田聖子氏 2015年10月2日22時43分
 アベノミクスの最初の3本の矢は、党内手続きを経たもので政権公約にも入っている。ただ、今回、新3本の矢は、あの(総裁再選を受けた)記者会見で初めて知った。党内手続きをしているわけがないでしょ。皮肉なことに、私が色々言うので、自民党はまだ独裁じゃないという褒められ方をする。でも、本来、私の役目はもっと若い人がするべきだ。安保法制の反対派から、「反対して欲しい」とメールをいただいたけれど、今回は手遅れだと言った。自民党が野党から与党になる時の選挙公約に、集団的自衛権行使と書いた。公約に書いてある以上、これを引っ込めるには相当力がいる。私は衆院の採決で賛成した。でも不安があったので、衆院特別委員会の浜田靖一委員長に尋ねた。「本当に大丈夫?」と。彼は運用面や予算のハードルが高くて、国民が恐れていることはなかなかできないと言った。そう示唆してくれたんで賛成に回った。ただ、法律は一回決まったらそれっきりじゃない。あの有名な郵政民営化法だって民主党政権になったら変わった。だから今回もこれで終わりじゃない。反対する人たちには、地元で国会議員に言ってくださいよ、と話している。これで終わったら終わりですよ。(テレビ朝日の収録で)
●内閣支持率
産経(10/24~25)       支持 44.2    不支持 43.2
日経(10/23~25)       支持 41        不支持 42
NHK(10/10~13)     支持 43        不支持 40     
時事(10/9~12)         支持 39.8    不支持 37.7
日テレ(10/9~11)       支持 39.1   不支持 43.0
朝日新聞社(10月17、18日)支持41%(9月19、20日の世論調査は35%)不支持40%(同45%)。
◇戦争法関係
産経(10/24~25)
*先月成立した集団的自衛権を限定的に容認し、自衛隊の役割を増やした安全保障関連法を、評価しますか、評価しませんか。
評価する      37.5
評価しない    54.9
わからない・どちらともいえない    7.6

*安全保障関連法の成立から1カ月がたちました。あなたは、今も政府が国民の理解を深めようと、安全保障関連法の説明を尽くしていると思いますか、思いませんか。
思う        12.2
思わない    83.7
わからない・どちらともいえない    4.1

日経(10/23~25) カッコ内は10月緊急調査(10/7~8実施)。
*アメリカなど日本と密接な関係にある国が攻撃されたとき、日本が攻撃されていなくても反撃する権利を集団的自衛権といいます。あなたは日本が集団的自衛権を行使することに賛成ですか、反対ですか。
賛成だ  26(27) /反対だ  57(55)  /どちらともいえない  9(9)
朝日/戦争法(安全保障関連法)は「賛成」が36%(同30%)、「反対」は49%(同51%)。